解説

中央値となる可能性があるのは、元の組において、 N/2N/2 番目に小さい数と、その次に小さい数、あるいは新しく挿入する数の 33 種類に限られます。 したがって、それぞれについて、これを中央値としながら平均値と等しくできるかを確かめればよく、答えは最大でも 33 通りです。

元の組において、 N/2N/2 番目に小さい数が中央値になるためには、新しく挿入する数はこの値以下である必要があります。 また、この時これを平均値とするためには、元の組での平均がこの値以上でなければいけません。(新しく挿入する数はこの値以下なので、平均がこれより小さいとどうやってもこの値が平均値にはなりません。 また、この判定は平均×要素数が総和であることを用いて整数の範囲で行えます。) 逆にこの条件が成り立つとき、「元の組において、 N/2N/2 番目に小さい数」を中央値かつ平均値とすることが可能です。

元の組において、 N/2+1N/2+1 番目に小さい数が中央値になる場合もほぼ同様です。ただし、これが上記の場合と等しいときには、 狙う平均値が同じということは挿入すべき数も同じですので、上記の場合と重複してしまいます。したがって、その場合は数えないようにしておきましょう。

最後に、新しく挿入する数が中央値になるためには、元の組においてN/2番目に小さい数以上、かつN/2+1番目に小さい数以下であればよいです。 また、新しく挿入する数が平均値となるためには、元の組の平均値に等しい実数を挿入する必要があります。したがって、 元の組の平均値が上記の条件を満たすかどうかを確かめます。 ただし、どちらかと等しい場合は、結局挿入する値として上記と被ってしまいますので(狙う平均値が同じになってしまうためです)、 この場合を先ほどと別の場合として数える条件としては「元の組においてN/2番目に小さい数より大きく、かつN/2+1番目に小さい数より小さい」とすればよいです。

考察のポイント

①:変わらないものを見つける

この問題において、挿入する数は自由な実数であり、それに応じて平均値も任意の実数となりえます。 したがって、これらを用いて絞り込むことは不可能です。 一方、中央値については定義から考える、または手元で例を作って試してみるなどの方法で、 実は 33 通りしかあり得ないことが分かります。このように、考えるべき量の中で、一番「変わりにくい」ものに着目し、それを軸にすると、 考察するべきパターン数を劇的に減らせる場合があります。

②:一対一対応の関係を見出す

この問題で少々ややこしいのは、挿入する値の「被り」を取り除くことです。 このために挿入するべき値を計算するなどの方法も考えられますが、実は今回は必要ではありませんでした。 なぜなら、「挿入するべき値が同じ」であることが、「平均値が同じ」であることと同値だからです。 この対応関係を念頭に置けば、結局のところ「中央値=平均値にする値」のみの条件で簡潔な場合分けを行うことが出来ます。